答え合わせは最後に

最近、魔法使いの約束というソシャゲを始めた。そのゲームに出てくる魔法使いたちはとても長寿で、2000年も生きている設定の者もいる。

2000年……2000年生きるってどんな気持ちなんだろうと思った。彼らは長寿がゆえにお別れを繰り返していて、そのせいかみんなひどく孤独に見える。長寿がもたらすものの本質が孤独なのであれば、人間が少なくとも100歳前後で死ぬことは幸福なのではないかと思う。

私は中学の時、自分は成人する前に死ぬと思っていた。20歳の自分の姿があまりに想像できないから、こんなに想像できないのは、きっと死ぬからだと思っていた。でも、今私は成人して、今ここに生きている。ずっと不思議な感じがする。想像できなかった未来がいつの間にか今になっていて、今は「30歳の自分が想像できないから、死んでるのかも」なんて思っている。この繰り返しで老いていくのだろうか。

ゲームの話に戻るけれど、魔法使いたちは、孤独を抱えながらも長い長い人生の中でたくさんの大切な思い出を持っている。ストーリーを進めていくと、その思い出を大切な宝物を見せるようにポツポツと話してくれる。私はそれがとても嬉しくて、なんだか泣きそうになってしまう。何百年、何千年と生きている彼らの大切な思い出に触れられるのが嬉しいのだ。そして、そんなにも長く生きてきた彼らの中に、悲しい思い出だけでなく、誰かに話したくなるような楽しい思い出もあることが嬉しい。彼らの中に、そんな思い出がたったひとつでもあることが奇跡のようなことだと思うから。

そして、イベントストーリーなどで彼らが人間や他の魔法使いたちと交流し、楽しそうにしている姿を見るのも嬉しい。この瞬間を、彼らはいつか思い出してくれるだろうかと考える。彼らの気の遠くなるような人生の中に、ほんの少しでも光を灯せるような思い出になってほしいと願う。ゲームだからと切り捨てられないほどに、私は彼らの人生に魅せられているのだと思った。

私が死ぬまでに、誰かに話したくなるような思い出はいくつできるだろうか。そして、その思い出をいくつ覚えていられるのだろうか。思うように外出できず、やりたいことも手に付かないままぼーっと終わっていく毎日を振り返って思う。去年、パンデミックが世界中で起きて、今のような状態になって、「きっといつか終わるだろう」と楽観的に考えていたら、いつの間にか1年が終わっていた。怖かった。このままだと、今年も同じように終わってしまう気がする。私は2000年も生きられないから、1年1年が大切なはずなのに。

もっと、思ったことをきちんと言葉にして残しておきたい。もっと、毎日を噛み締めて生きてみたい。浮き沈みはあるだろうけど、その浮き沈みさえも、最後には愛したいなと思う。私が私の生活を愛せるのか、魔法使いたちのように、いつか誰かにこっそりと話したくなるような奇跡のような思い出を作れるかは今はまだわからない。答え合わせは最後だ。それまではただ、ひたすらに、生活を続けていくしかない。